ロザンヌ開発の経緯(1)

今回から何回かに分けてロザンヌ開発の経緯について書いていこうと思います。

◆2015年、高槻リブロス

2015年当時、私は大阪府高槻市にあったゲーセン「リブロス」でとあるゲームのハイスコアに挑戦(スコアタ)していました。そのゲームには自作の連射装置を付けさせてもらっていて、標準のボタン以外に以下のボタンを備えていました。分かる人には何のゲームか速攻でバレそうですが(笑)

  • Aの裏30連(OFF-ON)
  • Bの表15連(ON-OFF-OFF-OFF)
  • AB同時押し

この連射装置は少数の汎用ロジックICを使用した割と簡単なもので、当時その環境でハイスコアを出してはいたものの、実はもう少し欲張った連射装置の構想がありました。それは以下のような特殊な連射です。

  • Bの表15連で、ボタンを離すタイミングに関係なく15連射を必ず6回、12回、18回…のように6の倍数回だけ出力する(自分の中では6n15連と呼んでいました)

文章だけでは伝わらないと思うので図示するとこんな感じです。

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6n15連のタイムチャート。ボタンを離すタイミングに関係なく6n回出力する。


この連射の構想はそれこそ15年以上前からあったのですが、どんな回路を組んでいいか分からず放置してました。ですがネットで調べつつ学生時代に勉強したことを思い出しながら何とか作ることが出来ました。学生時代(一応電子工学科)にもっとちゃんと勉強しておけば良かった(笑)
作ったのはいわゆる順序回路(フリップフロップ)を使った回路で、前述の連射や同時押しをすべて含んだ連射装置です。下の写真が現物です。

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リブロスで使用していた連射装置。Aの裏30連、Bの表15連、AB同時押し、Bの表6n15連の4出力

このように汎用ロジックICを8個も使用しています。この装置が思い通りに動いた時はそりゃもう滅茶苦茶うれしくて、スコアが出たのと同じかそれ以上の感動でした。そんなわけで早速リブロスに新しい装置を持参して付けさせていただき、再度スコアタに勤しむことになりました。

◆ホームレス

ところが2015年4月に思わぬ事態が発生しました。ホームゲーセンだったリブロスの閉店です。正直かなりショックで、結局新しい連射装置を使ってハイスコアを出すことはかないませんでした。
リブロスが閉店したためスコアタを今後どうするかというのもありましたが、当時の自分としてはそれよりも新しい連射装置がうまく動いた時の喜びの方が上回っている感じでした。自分でアイデアを考えて設計したものが思い通りに動く感動みたいなもんでしょうか。この時点でスコアタよりも連射を作る方に意識が向いていたのを覚えています。手段が目的化するというやつです(笑)その一方でこんなにややこしい回路を都度設計して作ってというのは面倒だな~とも思っていました。

◆偉大なる先駆者

ちょうどその頃、NRS-1という画期的な連射装置が市販されていました。(2021年3月現在も販売中です)
ntls.shop-pro.jp
このNRS-1はマイコンを使用することでユーザーが自由にボタン割り当てや連射速度を変更でき、複数の設定が保存できるという大変素晴らしい製品です。当時自分でもこんなのが作れたらなーと漠然と思っていましたが、私はマイコンを触ったこともなく自分に出来ると思っていませんでした。ですがリブロス閉店で時間が出来たことや、新しい連射装置がうまく動いたことで多少自信がついたのか、自分でもマイコンを使った連射装置を作ってみたいと思うようになりました。マイコンに関する知識はほぼなかったですが、完成形のイメージとしてはNRS-1という先駆者がありましたのでそれにならって作ってみたいと思う気持ちが日に日に強くなっていき、一念発起して挑戦することにしました。目標はNRS-1をベースに自分が欲しい機能を追加した連射装置です。


とまあこんな感じでロザンヌの開発に着手することになりまして、2015年7月ごろの話です。今思えばNRS-1とリブロス閉店がなかったらロザンヌも存在していなかったかもしれません。そう言う意味でもNRS-1とその開発者様には大変感謝しています。


今回はここまでとします。最後まで読んでいただきありがとうございました!